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 HPVワクチンによる肛門癌の撲滅

 

「チャーリ−ズエンジェル」で有名なファラ・フォーセット。絶世の美女で、私が学生の頃は彼女の髪型が日本でも大流行しました。

彼女の命を奪ったのは「肛門癌」でした。これは子宮癌と同じくHPVというウイルスが原因です。

厳密にいえば「性行為感染症」なのですがHPVは、広く人類に蔓延しており、我々の大部分が感染しています。多くの場合「良性のイボ」で済むのですが、運悪く「変異株」ができると発癌性をもちます。

解剖学的に女性は肛門と生殖器が近接しているため、誰でも(我々の奥さんでも)、いつ肛門癌になっても不思議ではありません。

あるいは、もう少し身近な例を言いましょう・・・・EBウイルスは俗称「キス病」とも呼ばれ思春期に「初キス」で伝染し風邪症状を起こします。90%以上の人が感染します。感染後EBウイルスは、無症状のまま我々の対内に持続感染します。しかし運悪く「変異株」ができると・・・・悪性リンパ腫を起こします。これと全く同じです。

 

最近、日本でも子宮癌予防のために公費によるHPVワクチンを推進しようと盛んです(どのようなワクチンが最善か、もっと研究をすべきという慎重論もあり、専門家でも微妙に議論が分かれています・・・・・・・私見を言えば「DNAワクチン」が本命・真打ちなのではないかと思います。あらゆる変異株のプラスミド(発現用DNA)の混合ワクチンが可能だからです)

このワクチンは肛門癌撲滅の有力な手段にもなると期待されています

Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.は、2010年12月22日(米国東部時間)に、米国食品医薬品局(FDA)が、4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンGARDASIL®について、9〜26歳の男女におけるHPV16, 18型に起因する肛門がんおよびHPV 6, 11, 16, 18型に起因するグレード1, 2, 3の肛門上皮内腫瘍(AIN、肛門異形成と前がん病変)の予防の適応を承認したと発表しました。 (メルク社プレスリースより)

 

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HPVの電子顕微鏡写真とCG

ワクチンができればHPVは人類から撲滅されるか?実は話はそう簡単ではありません。ウイルスにはEnvelopという細胞膜と同じ膜を持つタイプと、持たないタイプがあります。

上の図で解説しますが、前者は免疫攻撃が容易でワクチンも開発も早く有効です。

しかし、後者は免疫攻撃が難しくワクチンも難航します

しかし、全く不可能ではありません。詳細は割愛しますが我々の免疫システムは、後者のタイプも排除するシステムを身につけています。

最近話題の「癌の免疫療法」は正に後者のシステム(免疫プロテオソーム)を利用しています。

実際に、後者のタイプであるポリオはワクチン(このワクチンの開発はRNA工学という最新の分子生物学が応用されました)により数年後に「WHOが世界絶滅宣言」を出すと予測されています)これは天然痘についで2番目の絶滅宣言です)

しかしHPVは「人と共存している」と言えるほど人類に広く蔓延しています。果たしてHPVに「3番目の絶滅宣言」は下されるのでしょうか?

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