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子供の大腸は適度に不潔な方がいい

 

衛生仮説というのが最近、話題です。

要約すると・・・・アレルギーや自己免疫疾患は先進国で衛生的な生活をしている方に多い。ペットを飼ったり寄生虫を体内に共生させて「適度に不衛生な状態」にすることでアレルギーや自己免疫疾患を治療できるかもしれない。という仮説です。

ただし、この分野の第一人者・国立成育医療センター・斎藤 博久博士は2006年の論文で「衛生仮説のメカニズムについてThl/Th2パラダイム説や抑制性丁細胞説があるが、相互に矛盾する現象も観察され、まだ明快な解明には至っていない。アレルギー発症予防のために妊娠中や乳児期から卵や牛 乳を多くとったり,ネコや花粉あるいはダニと積極的に接 触したりするのは,そのメカニズムが矛盾なく解明されてからにすべきである。」と安易な治療に警鐘を鳴らしています。

最近Science 2012 March 22に掲載された論文は、この問題の解決になるかもしれません

要約すると

1:衛生仮説効果は腸管内iNKT細胞が鍵となる。これが「悪者」でアレルギーを起こす。大腸内に常在菌が十分にあるとiNKT細胞が減少する。つまり衛生仮説効果は腸内細菌が起こす。腸内細菌が少ない(清潔)だと起きない。おそらく「iNKT細胞の減少」をターゲットにすることで・・・・・寄生虫の卵を飲むよりも、より効果的な(衛生的な?)衛生仮説効果が可能になる。

2:衛生仮説効果は新生児期にしか起きない。成人になってから「不衛生」にしても効果は無い

・・・・・ということです。

実はこの論文より1年早く日本の研究チームも「腸内の常在菌が腸内に抑制性丁細胞(=アレルギーや自己免疫疾患を抑える)を増やす」という報告を行っています(Science 2011 Jan)こちらの報告では「有益な菌」としてクロストリジウムを同定しています(皮肉なことに・・・・これは今まで悪玉菌とされていた菌です)

「腸内が清潔すぎると免疫系が過剰になりアレルギーや自己免疫疾患を起こす。身の周りは清潔にすべきだが腸内は適度に不潔な方がいい」という理論が今、定説になりつつあるようです。

おそらく数年後には厳密な科学的根拠に基づいた「アレルギー予防ヨーグルト」が市販されることでしょう。

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