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非吸収性抗生物質が過敏性大腸に有効( N Engl J Med 2011; 364:22-32January 6, 2011)

非吸収性抗生物質というのは小腸で吸収されず、そのまま大腸へと到達する薬です。日本ではポリミキシンBという薬が最も多く使われます。今回の論文では リファキシミン という薬が使われましたが、おそらく非吸収性なら抗生物質のタイプは本質的な問題ではないでしょう

この論文の意味することは「大腸内の腸内細菌を、一度、大量の抗生物質でリセット(一度、ゼロにするという意味ですが数日後には再び腸内は細菌で充満します)」することが過敏性大腸に有効であるということです

つまり・・・過敏性大腸というのは従来、考えられていたような「精神的な病気」ではなく、腸内細菌(フローラ)のトラブルであるということです

このような「説」は昔からありました。そして腸内細菌を改善するという謳い文句で「化学的根拠の無い」多くのインチキ健康食品が販売されています。そして広告に紹介されている論文は「インチキ医学誌(お金を出せば、どんな論文でも掲載する雑誌)」というのが相場でした・・・

今回、注目すべきことは、この研究がN Engl J Medに掲載されたということです

この医学誌は「世界で最も審査が厳しく、掲載された過去の論文は医学の歴史を変えたものばかり」なのです

たとえば・・・

「胃癌の原因がピロリ菌である」

「大腸ポリープを切除することで大腸癌は予防できる」

「潰瘍性大腸炎は免疫抑制剤が有効」

などの今では「専門医の常識」である報告は、全てN Engl J Medで最初に行われたものです

今回の報告では「効果としては非常に小さい。しかし、科学的に効果が確かにある」という結論です。今後の進展を見守りたいと思います

個人的感想・・・・大腸内視鏡を受けると過敏性大腸が「一時的によくなる方」をよく経験します。おそらく、検査前の大量の腸管洗浄液で腸内細菌がリセットされたのだろう?というのは多くの専門医が前から予測していました。そして、日本ではこれを利用し「大腸洗浄・コロンハイドロセラピー」「内視鏡で大腸の不自然な捩れを治す」という医師が登場しました。いずれも、高額な費用を患者さんからとっていました・・・・彼らは現在は、日本の医学界からは「リセット」されました