日本の医療費が限界になり、上記の問題が最近、問題になりました。小さい(=5ミリ以下で線を引く意見が多いです)ポリープの癌化率は「非常に低い」です(しかしゼロではありません。)これを全て切除するのは「医療費がもたない」という主張です。(下記資料・赤字部分)最近、この問題に関して新たな論文がでました。主旨は「微小なポリープに癌の危険は、従来考えられていたよりずっと多い」というものです
当サイトの私見
現在の医療費制度では微小なポリープ(癌化リスクが低い)も大きなポリープ(癌化リスク高い)も手術の医療費は同じです。そして医療費の大部分が保険により支払われます。患者さんにしてみれば「命は一つしかないので、保険が効くのならリスクの低いポリープも切除したい」と考えるのは当然です。患者さんの希望と「医療費抑制」という国策を両立するには・・・・大きなポリープは保険適応にし、小さなポリープはサイズに応じて患者さんの自己負担割合を高くするという方法しかないと思います
大腸ポリープは全て治療すべき
Laurie Barclay, MDMedscape Medical News 監修 Gary D. Vogin,
MD
直径6mm未満の大腸ポリープでも好ましくない組織像を呈する場合があるため治療が必要であるとするレトロスペクティブ(後ろ向き)レビューの結果が米国結腸直腸外科医学会(ASCRS)年次集会(6月25日、ルイジアナ州ニューオリンズ)で発表された。抄録は『Diseases
of the Colon and Rectum』5月号にも発表されている。
「ごく小さな大腸ポリープでも無視することはできない。この中の4.5%がハイリスクであり、1,000個中2個が癌性ポリープであったからである」と著者でありクリーブランド・クリニック・ファウンデーション(オハイオ州)で内視鏡検査責任者を務める大腸外科医James
M. Church, MDはMedscapeに述べている。
「進行した」腺腫や「危険な」腺腫という概念が1992年に最初に記載されたとき、専門家の一部では、小さな大腸腺腫は後の大腸癌リスクを増大するとは考えられていなかったので、経過観察も治療も必要としない、と考えられた。
このレトロスペクティブ(後ろ向き)レビュー調査では、1995年以来Church博士が大腸内視鏡で認めたポリープ5,722個の転帰を検討した。その内訳は、直径6mm未満と定義したI群が4,381個(76.6%)、直径6潤オ10mmと定義したII群が666個(11.6%)、直径10mm超と定義したIII群が675個(11.8%)であった。浸潤癌24個のうち、2個がI群、1個がII群、21個がIII群であった。
「ハイリスクの」腺腫とは、絨毛構造が25%以上を占めるもの、重度の異形成を伴うもの、または直径が10mmを超えるものと定義した。定義に従えば、III群の腺腫は全てハイリスクとなるのに対して、I群では2,064個中91個(4.4%)、II群では417個中65個(15.6%)がハイリスクの腺腫であった。III群の腺腫564個中326個(57.8%)は組織学的所見が好ましくなかった。年齢、家族歴、ポリープの部位はいずれも、ハイリスクのポリープの割合に影響を及ぼさなかった。
「小さな大腸腺腫にも癌またはハイリスクの上皮組織が潜んでいる可能性があることを本研究は示している」とChurch博士は述べている。「バーチャル・コロノスコピー(では小さなポリープの半数を見逃すという問題点が考えられ、通常の大腸内視鏡検査でも4分の1が見落とされる。しかし、小さなポリープが発見された場合には、それらを取り除くべきである」
数学的に考察しましょう。腫瘍細胞はネズミ算式に分裂しますから「指数関数的に」増殖します。4ミリのポリープと6ミリのポリープは「人間の目で見ると大きく違うように」感じます。しかし、細胞の数・発生してからの時間・分裂の回数・増殖時間で考えると「極めて微々たる差」です。