現在の標準的治療法
別名「結さつ切除術」といいまして文字通り、痔核を切除して結さつ(糸で縫う)手術です。通常、ひどい脱肛は3個できることが多く3個同時に切除します。
3個切除の場合でも手術は馴れた医師なら、15分位でおわります。 傷は溶ける糸で縫いますので、抜糸は不要です。縫い方は半分だけ縫う方法(半閉鎖といいます)が一般的ですが、完全に縫う場合や、ほとんど縫わない場合もあります(傷に加わるテンションなどをみて適宜、使い分けます)
麻酔
麻酔は一般に腰椎麻酔という腰に細い針をさす下半身麻酔が一般的です。この針は通常の注射より細い針を使いますので思ったより痛くありません。ただ、腰椎麻酔は時に頭痛をおこすことがあります。
腰椎麻酔と似ているのですが、仙骨麻酔といいまして、頭痛の起きない下半身麻酔が選ばれることもあります。
いずれの麻酔法にしましても手術中は全く痛みは感じません。ただ、横になっていれば手術は終了します。
手術後の痛み・・・
手術後は肛門に傷ができていますので、排便時に肛門に強い力が加わりますとどうしても痛みがでたり、出血したりします。この「排便時の痛み」が痔の手術の最大の問題です。
「排便時の痛み」はかなり個人差があります。9割の方は「なんとか我慢できる程度」の痛みで特に痛み止めを必要としません。約、1割の方は強い痛みのため、痛み止めを必要とします。痛み止めは飲み薬や座薬を使いますが、痛みが強い場合は注射を使います。またお風呂に入ると肛門の筋肉がゆるみ痛みがやわらぎます。
概して手術前の脱肛がひどくて傷が大きくたくさんできた方は痛みが大きくなります。また便が固い方、肛門の緊張が強い方は痛み が大きくなる傾向があります。
後遺症は
痔核は肛門括約筋よりも浅い層にできますから、正しい層で切除されれば、括約筋を傷つけることはありません。つまり、術後、肛門がゆるくなることはありません
また、基本的に「脱出する粘膜」=「過剰にたるんだ粘膜」のみを切除しますので、正しい切除がおこなわれれば手術後、肛門が狭くなることもありません。しかし、余計に正常な粘膜の部分まで切除してしまうと術後の肛門狭窄の原因となります。肛門専門医がおこなえばこのような合併症がおこることはありません。