肛門が痒いという訴えは、肛門科では比較的多いものです。
<原因>
肛門の皮膚炎の原因は大別して、二つあります。真菌(水虫などかびの仲間)によるものと、薬品による化学的な刺激によるものです。
前者は俗称でいうなら「おしりのインキン」です。中年男性だけでなく、女性にも悩んでいる方が多い病気です。
後者の 化学的な刺激としては、石鹸によるもの、痔の軟膏の副作用、汗もによるもの、薬のアレルギーによるものなどがあります
<予防>
おしりの風通しをよくするようにムレルジーンズなどはひかえましょう。下着は化学繊維をさけ風通しのよい木綿にしましょう。座るお仕事の方はまめに立つようにしてお尻をむれさせないようにします。お風呂の時、おしりはお湯で洗うだけにしましょう。潔癖症で石鹸で肛門を洗うのは逆効果です。痔の軟膏を使っていてかゆみが出たら中止しましょう。大きな外痔が悪化の原因の場合は切除をすすめます。かく事自体で病変が広がりますの。かゆみ止めを使いましょう。下痢をしないようにし、下痢をしたら排便後はウヲシュレットで清潔を心がけましょう。
<治療>
皮膚炎の原因が何かを診断することが一番大事です。真菌なら水虫の薬を使います。他の原因でしたら、ステロイドや炎症を抑える軟膏を使います
1日中、皮靴を履かなければならないビジネスマンの水虫がなかなか治らないように、座っているお仕事の方の肛門の皮膚炎もなかなか治りません。肛門の皮膚は体の中で「最も過酷な環境にある」といえます。気長に治療を続けましょう・・・
<注意>肛門の湿疹の大部分はこのようなカビか化学的刺激によるものなのですがまれに皮膚ガンのこともあります。ぺージェット病、ボーエン病といわれるもので通常の湿疹と区別しにくいものです。これは私たち肛門科よりも皮膚科の先生のほうが得意です。肛門科に診てもらっているが湿疹がよくならないという場合は皮膚科の先生にも相談すべきです。