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痔瘻物語(闘病記 )−肛門周囲膿瘍編−

平成11年4月4日(日曜日) 死んだ様に寝た為か、元気に目が覚めた。お尻も痛くない。腫れている感じはする。 空腹である事を思い出す。げんきんなものだ。考えてみれば山田うどん以来何も食べてない。 お昼に5分粥がでた。味わって食べた。足らない。 夕飯に5分粥がでた。味わって食べた。足らない。 今後は、空腹との戦いだ。家内が、大好きな天乃屋の歌舞伎揚げなどのおやつを持って見舞いにきた。 まだ、間食は厳禁だ。さて、いつ歌舞伎揚げに触手が伸びるか自信が無い。 肛門からは、薄い血の出血がある。今後この出血が続くそうだ。 痛みは、全くと言って良いほど無い。 早速、この日から仕事がやって来た。メールアクセルすると、次の会合に向けての寄書の作成依頼が 飛び交っている。この日は、静観する事とする。

平成11年4月5日(月曜日) 手術後、始めてお風呂に入る。治療の一環らしい。小さな湯船が6つ並んでいる。 1人が入るとお湯を全て抜き、更に次の入の為にお湯を入れる。感染を防ぐ為だろう。 久しぶりのお風呂は、気持ち良い。しかし、腹が減った。痛みはまるで無し。 この日より仕事のメールを発信する様になった。毎日30通位のメールを隈なくチェックする。 結構時間が潰れる。また、PC内の未読スペックなどについてもゆっくり目を通す事が出来る。 何故か会社より集中できるのだ。 ・

平成11年4月6日(火曜日) 住友の保険のおばちゃんがスイートピーの生花を持って見舞いに来てくれる。驚いた。 長い付き合いなのだが、保険のおばちゃんはそんな事はしないと思っていた。 スイートピーの芳しき香りは、病室の淀んだ空気を浄化してくれます。 今日で毎朝の点滴が終わる。点滴は苦手だ。必ず看護婦が間違って血管を外してしまう。 今回も2回外された。おかげで、皮膚が2箇所黄色くなってしまった。

平成11年4月7日(水曜日) 新聞、週刊誌を読んだりメールを見たりで、マイペースで時間を潰していく。 こんな事は、めったにない。とても心地よい。傷も順調だ。 SさんKさんも暇を潰すのがたいへんそうだ。 ただ、腹が減っている。 今日は、家族全員で見舞いに来た。昨日が、奈々の入学式であった事を知る。 入院している事の不甲斐なさを感じた。長女は、学校であった事を色々話してくれた。 次女は、久しぶりに見るパパに甘えてばっかりだ。

平成11年4月8日(木曜日) 昨日までは、低残査食といって消化の良い食事を摂っていたが今日からは常食だ。 つまり、多少のおやつはOKと勝手に解釈する。 よって今日は、逃亡を試みる。病院を脱出する。 ロッテリアに駆け込み「カツ丼バーガー」なる物をぱくついた。 久しぶりのシャバの空気だ。流石に缶ビールには、手が伸びなかった。 帰りに床屋さんに寄って散髪をした。さっぱりした。 しかし、仕事が絶好調だ。色々とやる事が有る。今日なんか、メールで送れない 文書を病院のFAXに入れてきた。相手は正気か? 俺は、入院中だ! そろそろ病院がいずらくなる。

平成11年4月9日(金曜日) 仕事ばかりやっていても、しょうがない事に気がついた。 違った事をやろう。そこで闘病記を書く事に決めた。 毎週金曜日は、ここの医院長先生直々による痔の講座(勉強会)が開かれる。 患者に自分の病気を理解して貰う試みだ。 早速、参加してみた。紀元前の太古より痔は有った事から始まり、痔の種類、仕組み、 予防法、手術の方法などがスライドを使って解りやすく説明される。その後、 大腸の病気についても説明があった。スライドがなまなましく気持ち悪くなった。 是非とも食事前の開催は止めてもらいたいものだ。 しかし、この試みは、大いに評価すべきだろう。自分の病気を自分で知るという 当たり前の事の大切さを教えているのだ。 米国では、簡単な手術の場合でも、たくさんのサインが必要となる。 患者は、手当ての内容について吟味し承認するのだ。 つまり、米国のシステムは患者が自分の病気に対して知識を有する事が前提となっている。 その上で、処置方法について患者が署名するのだ。 だから、おのずとインフォームドコンセプトが必要となってくる。 それに対して、日本ではあまりサインの習慣がない。 (今回の手術では、サインを行いました。) 良い見方をすれば、全面的に医者を信頼している故に不必要だったのだろう。 しかし、場合によっては最善を尽くしたはずの医者に対しても結果次第では、 患者から不信感を抱かれる。場合によっては揉め事になったりする。 つまり責任の所在が曖昧なのだ。また患者は、病気に対する知識が無い為に 責任を負う為の土俵にさえ上がれない。 この勉強会は、この様な不完全な現状に対しての警鐘であると同時に、問題回避の為の 改善策である様に感じる。とても素晴らしい試みだ。

平成11年4月10日(土曜日) さて、今日も朝から仕事ばかりやっている。私の代打で、 後輩が来週ニースに行く事になったのだ。その罪滅ぼしとして、 出来る限りサポートしてあげたいのだ。 AM11時半頃、高校からの友達が見舞いに来てくれる。何となく照れるが嬉しい。 受け付けの隣の喫茶室で色々と話す。最後は、必ず「今度飲もうな!」で終わる。 今回もそうだ。時計を見ると、PM12時をかなり回っている。これは、まずい。 今日の昼食は、蕎麦なのだ。案の定、伸びきった蕎麦が冷たくなっていた。 仕方ないので、蕎麦を口に詰め込んだ。 その時であるグッドニュースが飛び込んできた。 明日の退院が、OKされたのだ。嬉しい。Sさんも明日の退院である。 Kさんは、手術が2日遅れたのでその分、退院も遅れるのだろう。 PM4時からは、明日退院予定の患者のパーティが行われた。 パーティと言っても、ワインが一杯出るだけである。 パーティでは、退院後の注意点などについての説明があった。 また、卒業証書が手渡される。なかなか粋な計らいだ。 イザ退院となると逆に今までの病院生活が恋しくなる。 特に、偶然にして運命を共にした戦友との別れが悲しい。 さて、明日からは多忙な浮世が待っている。 そろそろ、「お任せモード」を切り替えなければ...

 

 

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