便秘で悩む方へのアドバイス
- 最近ひどくなってきたのですか?
- 朝食をとっていますか
- 運動不足では
- 野菜をとっていますか
- 糖尿病、甲状腺の病気に注意
- 気分がひどく落ち込んでませんか
- 血圧の薬、胃潰瘍の薬、精神のお薬などを飲んでいませんか
- 糖尿病、甲状腺の病気の可能性は?
- 子供の時から高度の便秘なら
- 浣腸治療は医学的に根拠があるのか?
- 下剤でも効かない「高度便秘症」の最後の治療法
- 肛門で便がひっかかっているのでは?
最近ひどくなってきたのですか?
やはり、この場合、大腸の病気(ポリープ、ガン)がないかを確認する必要があります
一般に大腸ガンは若い人には少ない病気です。若い人の便秘ではすぐには大腸の検査を しません。しかし(非常に稀なことなのですが)「ただの便秘でしょう」と様子をみていたら実は若年性大腸ガンであったということもあります。若い患者さんでも経過がおかしいようでしたら要注意です。
朝食ほどよくをとっていますか?
排便で重要なのは大腸が収縮運動(ぜんどう運動)して、便を送り出すことです。このぜんどう運動は1日中同じようにあるわけではありません(あったら1日中、トイレにいきたくなってしまう)。朝、それも朝食をとると、ぜんどう運動がおきることがわかっています(胃結腸反射)
そして、便秘とは「胃結腸反射の低下」のことなのです
胃結腸反射をスムーズにおこすためには朝、ちゃんと食事をとり食後、一服する余裕が必要です
運動不足では
運動不足になりますと大腸のぜんどう運動が低下し胃結腸反射が弱まり便秘となります。典型的なのは病院に入院した患者さんです。一日中ベットで安静にしているため、ほとんどの方が便秘になります。
野菜をとっていますか
野菜のなかの食物繊維は便を ほどよく硬くし、大腸粘膜に刺激を与え胃結腸反射をおこす「もと」となります。また野菜は最も強力な大腸ガン抑制食物です。お年よりで便秘で悩んでいる方は柔らかいものを好むようになり野菜がへっていることがあります。
糖尿病、甲状腺の病気に注意
糖尿病がひどくなると体のいたるところで「神経麻痺」を合併します。尿がでにくくなったり、便秘で苦しむようになります。また甲状腺の病気は女性に非常に頻度の多いホルモンの病気なのですが、甲状腺の機能が低下するとひどい便秘になります。いずれもインスリンや甲状腺ホルモン補充などの適切な治療で改善します。
気分がひどく落ち込んでませんか
つかれやすい、仕事への意欲がわかない、夜寝れないなどの症状がつづいていたら軽症の「うつ病」 も考えるべきです。うつ病の非とはしばしば、便秘になります。重くなる前に精神科、心療内科医師にコンサルとを受けましょう
血圧の薬、胃潰瘍のくすり、精神のお薬などを飲んでいませんか
よく使われる血圧の薬「カルシウム拮抗剤」や胃潰瘍の薬「スクラルファート」、精神科で使う抗精神薬などがしばしば便秘をおこします。これらは長期に飲みつづける薬なので便秘は無視できません。同じ効果の薬で便秘にならないものがありますので処方した医師に相談してください
子供の時から高度の便秘なら
生まれた時から高度の便秘だった場合「ヒルシュスプリング病」といういう遺伝病の可能性もあります。重症の場合は小児外科医により診断、手術をうけることになるのですが「軽症タイプ」はしばしば見過ごされ、「便秘症」としてあつかわれ成人になります(成人型ヒルシュスプリング病)
浣腸治療(大腸洗浄)は医学的に根拠があるのか?
女性週刊誌などでとりあげられる「浣腸治療」はひどい便秘に対する究極の治療かもしれません。大腸内視鏡の時に下剤を飲んで大腸を空っぽにするのですが、通常の方は「下剤で何度もトイレにいくのがしんどい」というのですが便秘症の方は「宿便がとれてこんなにお腹がすっきりしたのは初めて」と喜んでもらえます。確かに、浣腸(正確には高圧浣腸とか洗腸といいます)によりお腹がすっきりして気分爽快になる効果はあります。しかし、これが美容によいとか大腸ガンの予防になるとは考えられません。またくりかえしおこなわないといけませんから高額な費用をとるのはどうかと思います。なお、最近は在宅の大腸洗浄器も販売されているようです。大腸洗浄、在宅大腸洗浄器について詳しく・・・・・
下剤でも効かない「高度便秘症」の最後の治療法
S字結腸が長すぎてとぐろをまいていることが原因のことがあります(S字結腸過長症)。最近、米国では過長なS字結腸を切除することで便秘を治療する医師も多いようですが日本ではあまり一般的ではありません。高度の便秘のため腸閉塞を起こし入院をくりかえすような方(宿便性イレウス)に行われることがあります。
肛門で便がひっかかっているのでは?
便秘と似ているのですが便秘と異なる病態として肛門の病気のため便が肛門でひっかかり排便しにくくなる場合があります。患者さんは排便が苦しいためトイレがおっくうになりますます便秘がひどくなります。切れ痔による肛門狭窄、不完全直腸脱、直腸瘤などがこのような症状をおこします。肛門専門医の診察が望ましいです
TOPICS 大腸癌は便秘と関係ない
|