大腸ガンの治療で重要な点を解説します
- 治療の主役は手術です
- ガンの深さがもっとも重要です
- 不幸にして転移してもあきらめない!
- 直腸ガンは機能を残す手術が主流
- 大腸は腹腔鏡手術が盛んです
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治療の主役は手術です
例えば同じ消化器
ガンでも食道ガンは抗がん剤や放射線がよく効きます。
しかし大腸がんは抗がん剤や放射線はあまり、効果がありません。
あくまでも「手術の補助療法」という位置づけです
裏を返せば、手術を依頼する外科医の技術に全て委ねられているということです。
裏話 山崎豊子の「白い巨塔」の主人公・財前の専門は原作では「噴門部胃癌」、新版では「食道癌・膵臓癌」の「名人」という設定です。これは、これらの手術が非常に難しく「名人」が少ないからです。逆に・・・大腸癌の手術は、「よく標準化されており、どのような病院・医師でも十分な高度な手術が受けられます」しかし、例外は直腸・肛門癌でこれは「名人芸」です。ですから財前の専門は「直腸・肛門癌」でもよかったはずなのですが・・・・・やはり、ドラマ性が考慮されたのでしょうか?
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ガンの深さがもっとも重要です
大腸の壁は「粘膜」「粘膜下層」「筋層」にわかれています。ガンがこのどの層の深さに達しているかで「転移」の可能性が変わります
ガンが 粘膜内にしか達していなければ 転移の可能性はありません。
手術さえ不要です。
内視鏡切除で完全に治ります
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ガンが粘膜下層に達すると・・・・・
近くの組織に転移の可能性が数%あります内視鏡切除では不十分で、手術にて周りの組織をいっしょに切除する必要があります
手術しなければなりませんが、完治できる可能性 が非常に高いです
手術で完治できるという意味で粘膜下層までのガンを「早期ガン」といいます
早期ガンは転移の可能性が数%ですので、手術が危険な老人の方やどうしても手術をしたくない方には、手術をせずに、内視鏡切除のみにすることが多いです
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ガンが筋層に達すると進行ガンとされます
肝臓や肺などの遠隔 転移の可能性が数十% あります。つまり、手術後、再発の可能性もあります
放置すると短期間のうちに「腸閉塞」をおこし患者さんは非常に苦しみますので高齢な老人でも手術が望ましいといえます。(高齢老人でガンの手術が必要なのは進行大腸ガンくらいです)
直腸ガンでは結腸よりも大きな手術が必要で、術後の後遺症もあります
ガンを浅いうちに見つけられるか(早期発見)が運命を決めます!
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不幸にして転移してもあきらめない!
大腸がんが、一番転移しやすい場所は「肝臓」です。「肝臓転移の程度」が余命を決める場合が多いのです。
通常、他のガンが肝臓に転移したら「治療法無し」と判断されます。
しかし大腸ガンの 肝臓転移は積極的に治療(手術、抗がん剤注入など)した方が余命が伸びることがわかっています
あたかも「のぐらたたき」のように、肝臓転移を数回、手術し5〜6年という長期生存をはたしている方もいらっしゃいます
肝臓転移(CT像)
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直腸ガンは機能を残す手術が主流
かって直腸がんの手術は「ガンを治すこと」を重視するあまり「できる限り大きく切除する」考えが主流でいた。
そのため人工肛門になる方が多くいました。また、直腸の周りには排尿、性機能に重要な神経があるのですが、かってはこれらの神経もすべて切除されていました。
そのため手術後、排尿困難や性機能不全で苦しまれる方も多くいました。
現在は手術技術の進歩、精密な骨盤内解剖の理解、ガンの転移ルートの解明により「できる限り必要最小限の切除」が主流となっています。
できる限り、肛門と神経を残す手術を「機能温存手術」といいます
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大腸は腹腔鏡手術が盛んです
解剖学的理由から大腸は腹腔鏡手術が非常にやり易い構造をしています。
専門施設では 大腸の手術は全て腹腔鏡手術をおこなっているところもあります
胃や食道、膵臓なども 腹腔鏡手術が行われていますが主流ではありません。
腹腔鏡手術も通常の開腹手術と同じく入院して全身麻酔でおこないますが、傷が小さいので術後の痛みが非常に小さいのが特徴です
・・・・・・・・腹腔鏡手術についてより詳しく
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