大腸癌の原因遺伝子が全て発見される日
私が大腸内視鏡を始めた頃(平成初期)、大腸癌の「原因遺伝子」は3つしか解明されていませんでした
このサイトの「大腸癌の原因」のページでも、この3つ(APC,RAS,P53)しか記述していません。
京都大学・武藤誠博士のグループは、この分野で世界最先端の研究をしており「更に4つ、計7個の遺伝子」が大腸癌の「原因遺伝子」であることを解明しました
その4つはWnt,TGF-β,Hedghog,Notchと言います。一つの真犯人を見つけるのに多くの研究者の努力がつぎ込まれました。
武藤博士たちは、特にNotchが「転移」に関係していることを解明、これを標的にした、新しい治療法の開発に取り組んでいます(最近、大腸癌以外でもNotch阻害剤は、新しい抗癌剤として研究が盛んです)
このように「犯人」が見つかれば「新しい治療薬」の開発につながる訳ですが・・・・・・、最近、米国で信じられないようなプロジェクトが進行しています。
膨大な数のコンピューター、自動シークエンサー(DNA解読機)、人員と予算を使い、数十人の大腸癌の「全遺伝子の解読」をして大腸癌の「原因遺伝子(犯人)」の全てを突き止めるという計画です。
アイデアは特に斬新な物ではありません。しかし、日本の研究者の「予算、人員、設備」では不可能な大物量作戦です
プロジェクトを指揮しているのはVogelstein博士。かって、日本の中村祐輔博士と「APC遺伝子の解読競争」をして「同日に、解明に成功した」科学者です。(正確には同日でないのですが、お二人が電話で「同日ということにしよう」と決めたそうです)
なんか・・・・太平洋戦争を連想させます。