最新情報
大腸 肛門科疾患のポータルサイト:大腸・COM(http://daichou.com)

LINK
ピロリ菌と胃癌
内視鏡・COM
本郷メデイカルクリニック

 

 

 


 





 

過形成ポリープ

非常に頻度の多いポリープです。癌化の危険は非常に低く、通常は見つかっても内視鏡で切除する必要はありません。大腸の中でも直腸に特に発生します。ただし過形成ポリープは遺伝子が変化した「腫瘍」であることがわかっています。(遺伝子には変化のない反応性の炎症性ポリープとは本質的に異なります)。過形成ポリープのたくさんできている方は「腫瘍のできやすい体質」「腫瘍のできやすい食生活をしている」と警告していると考えるべきです。定期的な検診が望ましいといえます。


過形成ポリープ

内視鏡を受けたあと医師から「小さいポリープがありますが、あえて切除する必要はありません。でも念のため時々、検査を受けてください」と説明をうけたら、おそらくそれが過形成ポリープです。

 

最近の知見・・・・最近は過形成ポリープはSerrated Polyp(SP)と呼ばれています。そしてSPの中には「癌化のリスクの低い物(HP=Hyperplastic Polyp)」から「癌化リスクの非常に高い物(SA=Serrated Adenoma)」があると認識されています。

1990年代に世界中から次のような報告が相次ぎ、この病変の認識は大きく「転換」しました。

(1)体質で過形成ポリープが多発する方がいるのですが(Hyperplastic Polyposisi Syndrome)、以前は内視鏡でこのような方が診断されても「大腸癌にはならない」と放置されていました。しかし、そのような方が後年、大腸癌になったという報告が相次ぎました

(2)毎年、内視鏡でポリープ切除をうけていたにもかかわらず大腸癌が発生する方がいました。専門家は「インターバル大腸癌」と呼び「医師の見落とし」を警告しました。このような癌の遺伝子を調べると・・・・ある特徴があることが解りました(専門的にはCIMP,MSH,BRAFという変異です)。これらの変異は通常の大腸ポリープ(腺腫といいます)には見つかりません。そして、今まで放置されていた過形成ポリープに、これらの変異が検出されることが解りました。つまり、「見落としとされた癌」は「放置された過形成ポリープ」由来であることが示唆されたのです。

では、どうすべきか?

内視鏡検査を行うと、まずほとんどの方に複数のSPが見つかります。これを全て切除するのは物理的に不可能です。以下のような点で患者さんの大腸癌リスクを総合的に考慮し「ある程度リスクの高いSPを切除する」というのが専門家の一致した意見です。

最も重要なのは組織型です。SPは専門的にはACF⇒HP⇒SSA⇒MSA⇒SAという段階を経て病変が進行します。

次に重要なのはサイズです。SPもサイズが10ミリを超えると、発癌リスクは腺腫と同じと考えられています。

次に数です。例えば1ミリのSPが10個あれば、1個1個のリスクは小さくても個体のレベルではリスクが無視できなくなります。

患者さんが大腸癌体質(家系に大腸癌が多い。患者さんがSP以外に 腺腫も多発している)の場合のSPは、そうでない方に見つかったSPよりハイリスクと考えられています。

体の右側(盲腸、上行結腸)にできたSPは直腸・S字結腸のSPよりハイリスクという報告がありますが、これは反論もあります。直腸・S字結腸のSPは遺伝子解析が遅れており(上記のCIMP,MSH,BRAFという変異は見つかりません)ブラックボックスの状態です。

巨大過形成ポリープの例・・・・以前はこのような病変は「癌化しない」と放置されていましたが、最近は「非常に危険な病変」と考えられています

 

 

 2023年の最新情報が、こちらにあります。

戻る