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過敏性大腸症候群とは・・・

専門家の間では過敏性大腸症候群は「便秘型」「下痢型」「交代型」と分類されまが、わたしの経験上、この分類はあまり役に立ちません。私は「腹痛型」「トイレ不安症」「大腸過長症」の3つに分けています



1: 腹痛型・・・原因不明の腹痛に悩み胃・大腸・肝臓・膵臓など検査をくりかえし行うが異常は無く、「神経症」とされている人たち・・・。時には夜も眠れないような激しい痛みで苦しむことも。鎮痛剤を飲むもあまり効かず薬の使用が多くなります。
この病気は
(1)腸の過剰収縮(スパスム)によるもの
(2)小腸、脊椎、神経に何らかの病気があるのだが検査でわからないもの
・・・の2つがあると考えられます。このうち(1)が純粋な意味の「過敏性大腸」です。(1)のタイプには専門医が内視鏡をおこなうと「硬く収縮の強い大腸」であることがよくわかりますこの痛みはたとえて言うなら足のふくらはぎに起こる「こむらがえり」(足がつる)のようなものです。こむらがえりは筋肉の過剰収縮(スパスム)なのです。これは自分ではどうしようもないものです。「神経質」「痛みに過敏」 「自己暗示すれば痛みが消える」というようなものではありません 。このタイプには腸の収縮を抑える薬を使いますが、最近は漢方もよく使われます。
(2)のタイプは難しいです。今後、新しい検査法が開発されれば治療も変わることが期待されます

2: トイレ不安症(下痢型過敏性大腸)・・・・「下痢というよりも、ちょっとしたストレスですぐ便意をもよおしトイレにいきたくなる。しかし便はわずかしかでない。トイレからでた後もなんとなくすっきりせず、すぐまた便意をもよおす。初めての人に会ったり、電車に乗ったり、大事な会議などがあるとトイレにいかないと不安でしょうがない」というのが典型です。これは「神経質」「完璧主義」な方に多く本質的には「内臓の神経が感覚・反射とも過敏になっている」状態です。潔癖症(何度も手を洗わないと不安)や強迫神経症(家を出るとき、不安で鍵を何度も確認する)と共通の部分があります。患者さん自身が「自分は過敏でストレスに弱い」と自覚している事が多いです。このタイプが本当の意味での「過敏性大腸症」です。

・・・・・・・・・・・・・・・・トイレ不安症(下痢型過敏性大腸)の患者さんへのメッセージ


3:大腸過長症・・・・・ 従来、「便秘型」、「便秘下痢交代型」の過敏性大腸症といわれているタイプです。しかし、症状の基本は便秘です。しばらく便秘が続くとやがてひどい下痢になりますが、しばらくすると、また便秘になります。 常にお腹が、ガスがたまっていてすっきりしません。下痢になっても完全に便を出し切ったという爽快感はありません。
私の経験上、このような症状で悩んでいる方は大腸(S字結腸)が非常に長く(大腸過長) 屈曲が激しい方がほとんどです。そのために常にガスがたまり便秘になるのです。便秘が、あるレベルに達すると腸の反射が活発になり下痢になります。そういう意味では「神経の問題」ではなく「肉体的・器質的」な病気です。(過敏性大腸の範疇にいれるのは不適切でしょう。)治療の基本は「マイルドな下剤」です。将来、腹腔鏡手術が進歩し安全で短時間に大腸の切除手術ができるようになったら・・・・・このタイプは手術で治療できるようになるでしょう。