大腸肛門セカンドオピニオン
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虚血性大腸炎について はじめまして・・・ 私の父73歳のことで相談させていただきます。 8月の初め頃より食事のあとすぐトイレに行っていました。 腹痛もなくただの下痢かと思いあまり気にしていなかったのですが、 長く続きある日下着に血がついていましたのでトイレのたびに気をつけて いると、下血しているようでしたのですぐに(8/17)近くの病院で診察 すぐ入院となりました。 当初、担当医から「腸炎です。」 とのことで、数日おかゆ中心の食事が出ていたのですが、カメラの診察で「今日から絶食します」と、なり 以来点滴と食後のお薬のみです。 以後調子よく過ごさせてもらっていたのですが・・・ 数日前、担当医から「虚血性大腸炎です。とにかく絶食、あと抗生物質と止血剤、栄養は 点滴で十分に補っています。」と言われました。 なによりも父の身体の衰弱がひどく おむつはもちろんのことすこし起きあがることすらできなくなりました。 本人も気力でがんばるのですが寝返りもできないぐらい弱っています。 どうかご指導よろしくお願いいたします。

虚血性大腸炎が若い人に発生した場合は4〜7日位の安静入院でよくなるのが普通です。お父さんのように全身状態の悪い御老人に発症した場合は重症となることもめずらしくありません。その場合は発症してから数日以内に、腹膜炎、敗血症という経過をとります。ただ、8・17に発症とのことですので、急性期は無事、乗り切ったといえます。通常は虚血性大腸炎自体はすでに、治癒期に入っているはずです。

再度お願い致します 。 朝39度の熱があり 便の状態はまだ水溶性(溶けたチョコレ−ト状)です。。 発症してから数日以内に、腹膜炎、敗血症という経過・・・ とのことですが熱との関連があるのでしょうか? もう半月あまりもこのような状態ですので弱ってしまうのは 当然だと思うのですが 父の場合はかなり重症なんでしょうか? 劇症のケ−スにはあてはまらないのでしょうか?あまりの父の衰弱振りにとまどってしまい 勝手な質問ばかりになってしまいました。( 9月3日)

経過(8/17頃には食事がとれていた)からは劇症の虚血性大腸炎は考えにくいです。高齢のため、2次的な合併症(細菌感染による腸炎、その他の感染症、抗生物質の副作用による腸炎)をおこされているのでは?担当の先生とよく御相談ください

再々度の書き込みです その後の検査等で「潰瘍性大腸炎の疑い」と言われ、検査・・・結果 クロ−ン病と診断が下り今日、特定疾患医療の申請書を渡されました。 前回お返事いただいた時点ですでに治癒期に入ってるはずなのに? 少しも良くならない病状に不信に思っていました。 素人ながらこのHPでいろいろ調べ潰瘍性大腸炎、クロ−ン病では ないかと思い担当医に聞くと「思っていたより潰瘍がひどいです」の答だけ それから数日後CTの検査があり「小腸と大腸が癒着しているかも・・・」 と説明されました。 今も絶食、水も口を湿らせる程度、あとアルブミン,豆乳状の白い液体、を 鎖骨の所から点滴しています。 朝昼夕とオレンジのお薬があり(ステロイドだと思うのですが)看護婦さんが 砕いて溶かしたオレンジの液体を注射器で飲ませています。 辛抱強い父ですが、寝たきり状態になり一ヶ月ともなるとストレスの為か 精神的にもかなりまいってしまいました。 闘病とはいえ今までの治療は何だったのだろうかと思ってしまいます。 今の状態では他の病院にかかることもできず 一日でも早く帰りたいと言う父の願望もあり 家族としてはHP等でクロ−ン病について理解し食事や日常生活の面でできるだけ 快適に過ごしてもらえるように努力したいと思います。 エンタ−ルについて詳しく教えていただけますでしょうか

エンタ−ルクローン病の治療の中心となるものです 理論的にはエレンタールは中心静脈栄養(現在、お父さんがうけているものです)と全く同じで、「腸に全く負担がかかりません」 したがってエレンタールで栄養補給すれば、点滴が不要となり退院が可能となります しかし、今のお父さんは薬も飲めない状態ですのでエレンタールが飲めるか難しいです 一つの解決策として「内視鏡的胃ろう術」という方法があります これは胃カメラを使い、細い栄養チューブをお腹から胃に通すものです。中心静脈栄養もはるかに簡単で合併症のないものです。 このチューブからエレンタールを補給することができます あともう一つお父さんの年齢ですとクローン病よりも腸結核の方が頻度が多いです。クローン病と腸結核は(細胞検査でも)非常に似ているため誤診されることがあります。結核菌の検査を繰り返しおこなうよう、先生にお願いしたほうがよいでしょう

情報ありがとうございました。 信じられない事が起こってしまいました。 9/29が父の命日になってしまったのです。 先生からのメ−ルをプリントアウトし父に伝えると父はとてもうれしそうにし、 「若い人たちも食事制限でたいへんだろうな〜俺はもう歳なんやからがまんできるけど・・もっと若い人達もがんばっとるんやからがんばるで・・・」っといってくれました。 勇気を出して 担当医に(クロ−ン病)専門の病院で診察していただきたいのでいままでの資料をお借りしたいと 伝えると 「・・・クロ−ン病ってはっきり決まったわけではない」 との返事、担当医が資料を用意するはずだった9/28 突然危篤の連絡 次の朝、父は帰らぬ人となってしまいました。 落ち込んでしまいキ−ボ−ドにふれる事も出来なかったのですがやっとここに来ることが出来るようになりました。 この件でいかに病院、医者というものが患者の生死を分けると存在であるかということを痛感しました。 また、セカンドオピニオン、病気に関する情報の重要さを訴えたいと思います。

(解説、追加)実際に診察したわけではありませんので、「誤診があったか」についてのコメントは控えたいと思います。一般論ですが、腫瘍(ポリープやがん)の診断にくらべ、炎症性の病気は診断が難しく、治療が正しければ、すぐによくなるのに、誤診をすると正反対の治療でどんどんわるくなることがあります。

私たちの経験から・・

例1:前医で「潰瘍性大腸炎」と診断されステロイド(免疫力を低下させる効果があります)を投与され、「重症化」し、私たちの所へ紹介されました。実はチフスで、ステロイドを中止し、抗生物質を投与したらすぐによくなりました

例2:下痢が続き前医で「細菌性大腸炎(食中毒)」と診断され抗生物質を処方されていたのですが下痢がどんどんひどくなるとのことで受診しました。内視鏡をしたところ、実は抗生物質の副作用(薬剤性腸炎)でした。抗生物質を中止したところ、すぐによくなりました。通常は長期投与で起こるのですが、めずらしい経過でした