ポリープの病理診断
内視鏡で切除されたポリープは顕微鏡で細胞診断(病理診断)がおこなわれます。
しばしば、混乱をまねくことなのですが、良性のポリープとガンは、はっきりとした境界線が引けるものではありません。子供が成長して徐々に大人になるように、良性のポリープは徐々に悪性度を増してガンになります。「中間病変」の場合は、判定する病理の先生によって良性か悪性かの判断が異なることもあります。
患者さんにしてみれば「自分はガンなのか否か、はっきりしてほしい」わけですから、混乱を生じることになります。
このようなことから病理結果は「グループ」分けされて結果が示されます
- グループ1:100%完全な良性
- グループ2:まあ良性
- グループ3:要注意の良性
- グループ4:100%ガンとはいえないがかなりガンに近い
- グループ5:100%完全なガン
病理診断(形態診断)にかわって遺伝子を使う診断(遺伝子診断)の研究が精力的におこなわれています。
<患者さんの質問から>
大腸の検査をしたところ、ポリープが3つ見つかり ました。検査の結果、5段階の”3”で、1年に1回検査をすればいいといわれまし た。
”3”とは腺腫性のポリープで、これはガン化する率が高いと聞きましたが、この ようなポリープの場合も1年に1度程度の検査でよいのでしょうか。もっと頻繁に検査し
なくても大丈夫なのでしょうか。また、腺腫性のポリープはどれくらいの割合でガン 化するものなのでしょうか。
とりあえず「1年に1回」は妥当なところだと思います。グループ3のガン化率は非 常に議論になるところです。形態的にはグループ3と「高分化(おとなしい)ガン」
は全く区別がつかない(粘膜下浸潤で区別される)といわれています。病理診断する 先生によって判断がことなることも多く、学会でも問題となっています。しかし、グ
ループ3のポリープは非常に多くの方に見つかりますので、実際にガンになるのは、そのほんの一部と考えられています。
かえって混乱したかもしれませんが・・・・「グループ3は必ず切除すべき。でも、切除して しまえば何の心配もない」と考えてください。
尚、病理分類にはいくつかの分類があります。最新の分類は下の対応表の右端のもので、医師の間では、この用語を使います。
患者さんへの説明に1〜5の数字で説明するのが「解り易い」ので愛用されています
グループ2 |
過形成(低いリスク) |
典型的過形成 |
腺腫と過形成の中間 |
グループ3 |
軽度異型腺腫 |
腺腫に近い過形成、low grade 腺腫 |
中等度異型腺腫 |
low grade 腺腫 |
グループ4 |
高度異型腺腫 |
high grade 腺腫 |
グループ5 |
癌 |
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