大腸ポリープが良性かガンかの診断は病理検査(顕微鏡で細胞を観察して形態で判断する)でおこないます
しかし、病理検査では「ガンか良性か区別の困難な例」があったり「ガンでも転移するガンか、転移しないガンかまではわからない」などの限界があります。
病理診断のかわりに遺伝子解析により客観的なデジタル診断をおこなうというのが遺伝子診断です(現時点ではまだ実験段階で一般臨床でつかわれるのはもう少しあとです)
大腸ポリープ、ガンの発生にはAPC、RAS、P53の3つの遺伝子が関係しています。特に最後のP53遺伝子の変化が「良性が悪性に変わる」変化を意味します。そしてさらにDCCという遺伝子が変化すると転移しやすくなります。
大腸ではこのP53やDCCなどが遺伝子診断に使われる可能性が高いです
具体的には・・・・・・
内視鏡を使い腫瘍から細胞を一部採取し・・・・
細胞からDNAを抽出(2〜3時間で完了します)し、PCRという方法で増幅(何十万倍にも複製すること)し、解析します。遺伝暗号を直接解読したり、大きさの変化をみたり、鋳型(ピローブ)に合うかなどを調べます。
P53が変化していればガン化していると判断し、治療が必要と診断します。またDCCが変化していれば「転移の可能性が高い」と判断し肝臓や肺の検査を十分おこなってから治療方針をたてます。
他にも次のような利用が考えられています
(1)ガン多発家系の方で自分や自分の子供が「ガン体質」を受け継いでいるかどうか知りたい
・・・・・・HNPCCという遺伝子は家系診断に利用される可能性が高いです。
(2)検診として便潜血検査のかわりに、便中のRAS遺伝子を調べます。もし陽性なら大きなポリープないしはガンがあることを意味します