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ピロリ菌、胃炎、胃潰瘍、胃癌 大腸癌、胃癌、食道癌、胃カメラ、大腸内視鏡大腸、肛門科、痔 本郷メデイカルクリニック

 

 

 


 

 



 

 

 

 


 

 



 

大腸 肛門科疾患のポータルサイト:大腸・COM(http://daichou.com)

 

大腸癌は未知の病原体が原因かもしれない(牛肉は生で食べるべきではない)

医学で、こういう「珍説」がでることは珍しくはありません。

しかし、今回、重要なことはこの、「珍説」を主張しているのがハウゼン博士(子宮頸癌の原因パピローマウイルスの研究でノーベル賞受賞:下写真)だということです。

現在まで病原体が癌の原因であることが確定しているものをまとめると・・・・・

胃癌 ピロリ菌
肝臓がん B,C型肝炎
子宮癌、その他の性器癌 パピローマウイルス(HPV)
悪性リンパ腫 EBウイルス
成人T細胞白血病 ATLウイルス
カボジ肉腫 ヘルペス8型

これに対して「疫学的研究」より大腸癌の最大の危険因子は「牛肉」と言われてきました

  • 牛肉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大腸癌の危険因子
  • 魚、鶏肉、豚肉、ラム、羊肉・・・・・・・・・大腸癌の危険因子ではない

しかし肉(タンパク質)は魚も牛肉も同じです。なぜ牛肉だけが原因になるのか?なぞでした

一つの解釈は牛肉は脂(霜降り)が多いから「脂肪が犯人」という説です。

でも・・・・豚やラムも脂肪は多いです

ハウゼン博士は、更に疫学的研究を進め

  • 牛肉をよく焼いて食べる人・・・・・・・・・・・・大腸癌の危険因子 小さい
  • 牛肉をよく焼かないで食べる人・・・・・・・・大腸癌の危険因子 大きい

牛肉は、あらゆる肉の中で「最も生で食べる習慣の多い肉」です

ハウゼン博士は、生の牛肉の中の「熱に弱い未知の病原体」が犯人と確信しており、数年後には「犯人を突き止める」と強気です

・・・・その時、博士は「2度目のノーベル賞」を受賞することでしょう

    

ノーベル賞受賞者ハウゼン博士・・・・博士が最初、子宮癌がウイルスが原因である可能性を指摘した時、周囲から変人扱いされたのは有名な話です

             

TTVウイルス BPVウイルス

現在、ハウセン博士の疑っている「容疑者」。両者とも、「牛の生肉」に大量に存在し、DNAウイルスで「理論的には」人に癌を起こす可能性がありえます(TTVは高率に感染しますがBPVの感染は幹細胞など限定的です)

 

 


補足(蛇足)私の経験(本郷メディカルクリニック 鈴木)

 「癌の原因が病原体か否か?」これは「極めて重要で判断の難しい問題」です。

原因が病原体であることが確定すれば人類は、その癌を克服できます。ワクチン、除菌、輸血のサーベイランスにより病原体の蔓延が防げるからです。

事実、上記の胃癌、肝臓癌、子宮癌、ATLは「いずれ発生が皆無に近くなる」と、予想されています

しかし、それを突き止めるまでが・・・実に大変な道のりなのです

現在でこそ「ピロリ菌が胃癌の主犯」であることを誰でも知っています

しかし、ピロリ菌が見つかった1980年代、私は「日本(つまり世界)の胃癌研究のメッカ」の大学研究室にいましたが、当時は「ピロリは十二指腸潰瘍の原因。胃癌との関係は小さい」というのが常識でした。

当時のピロリ菌検査(抗体検査)は非常に感度が悪く、高齢者(萎縮性胃炎)では抗体値が低下するため「胃癌の患者ではピロリの抗体値は高くない」という結果がでていました

その後上村直実博士が2001年に「画期的臨床試験」(今から考えると、人体実験に近い、倫理上許されるギリギリの試験でした)で「ピロリが胃癌の原因」であることを世界で始めて解明

当時、上村博士は広島にいらっしゃったのですが、激震は東京の我々の大学を直撃しました「やられた。先を越された。もう・・・ピロリでは我々は先頭には立てないだろう」と衝撃を受けました(今だから、こういうことも・・・・昔話として書けます)

2004年には「ピロリ菌が胃癌の主犯」と主張する「多数の専門家共著の本」が医学書院から出版されました。これが事実上のバイブルとなりました

20006年、私は最新知見を盛り込み、以下のサイトを前面刷新しました(完全に・・・後手で、検索エンジンでも、このサイトは順位が低いです)


ピロリ菌の総合サイト

ところで・・・TTVウイルスは真弓忠 博士が世界で最初に発見しました。博士は東京大学の先輩です。「大腸癌の原因ならば、これは、すごいことだ・・・・・大学にとっても最高の名誉」と、私は期待しています(・・・こういう話は患者さんには「蛇足」ですね)