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痔瘻物語(闘病記 )−肛門周囲膿瘍編−
平成11年2月12日(金曜日) 朝から、肛門が痛い。腫れている様でもある。家内に見て貰うがあまり腫れてはいないと言う。 朝ご飯を終えると早速、イエローページを検索。候補は2箇所。U病院とT病院。 T病院は、痔では有名だと昔から聞いている。 結局、車でT病院に行く事にした。 最初の受け付けで初診を受ける為の質問表を記入する。症状には、「肛門が痛い」とだけ書いておいた。 約30分後、呼ばれて治療室に入った。先生は、医院長先生だ。少しは安心する。「それでは、 パンツを下ろして左向きに寝てください。」と看護婦に言われて初めて羞恥心を感じた。 先生は、状況を説明すると解りきった様な態度で、「これは、肛門周囲膿瘍です。」と言いきった。 「簡単な手術をします。まずは、麻酔の注射です。」そう言って、ろくに説明もしないでケツに注射を始めた。 これが、とても痛い。局部麻酔だ。その後、麻酔が効ききって無いと思われる中、切開術に入った。 しかし、本人は何をされているか全く解らなかった。とにかく痛い。ケツの穴に指を入れている様でもある。 力を入れで膿を押し出している様でもあった。「痛い!痛い!」「我慢して!」の連続だった。 「終わりましたよ。」と言われて始めてホッとする。この医者は、インフォームドコンセプトって 知っているのだろうか? 激痛の後だけに腹が立つ。 「痛みは引きます。」「2ヶ月後位にまた来てください。」との説明に困惑した。2語目の方にだ。 聞き出すと[痔瘻]に発展する事が予想されるとの事。再びショックだ。 診察が終わっても肛門が痛い。とてつもなく痛い。一歩足を運ぶのに勇気がいる。死ぬ思いで薬を貰い 車まで歩いた。肛門が痛くて運転が出来ず、20分位駐車場でうなっていた。意を決して発車した。 約30K位のスピードで家までたどり着いた。家に入ると、バッタッと倒れてじっとしている。 痛くて動けない。子供が回りでふざけている。もし、肛門にでも触られたら一大事だ。 真剣に怒った。 ニースまで一緒に行く上司に電話を入れ状況を説明する。相手は笑っている。そんな奴だ。 「尻」と「寄書発表」との板ばさみとなり出張すべきか否か判断に悩む。 夕方になると先生の言った通り、痛みが引き出す。その時点でニース行きを決定した。 その晩は予定通り、晩酌もやった。 その日から、尻にティッシュペーパーを敷いておく様にした。出血する可能性があるからだ。 酔って「36歳にて初潮きたる。」などと言ったり痛みが引いた事により上機嫌になる。 また、その日は、インターネット/オフラインであらゆる限りの情報を集めた。キーワードは、 「肛門周囲膿瘍」と「痔瘻」である。以下が判った事; −痔瘻/肛門周囲膿瘍について(注参照) −肛門周囲膿瘍は、九分九厘、痔瘻に発展する。 −痔の手術は、最初が肝心。痔は、再発する可能性がある。 −日本人の3人に2人は痔の経験者。 −特に痔瘻の手術は専門の医者に行くべき。常識ある外科は、手を出さない。 (注)痔瘻/肛門周囲膿瘍について 痔瘻は通称、あな痔と言います。 一般によく聞く痔の種類というと、いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)があるが、いぼ痔の軽いものやきれ痔 の場合には内科的な療法で直ります。しかし、痔瘻は外科的な手術でしか直りません。 まず見た目には、肛門の周囲に小豆大から大きくなると親指大の腫れ物が出来ます。 腫れ物の中身は、血と膿です。腫れがひどくなると痛みが強く座ることも歩くことも辛くなります。 やがで、腫れ物が破れると中身が出て、痛みは楽になります。 ここまでは、まるで肛門のそばに血豆が出来ただけのように聞こえます。 しかし、しばらくほっておくと、また同じ腫れ物が出来ます。 理由は、腫れ物が出来る原因が外側ではなく内部にあるからです。 肛門の内部には、歯状線という外皮と直腸の境目があります。 その歯状線の肛門小窩という窪みに、細菌が入って炎症をおこし、その膿が外側に進んで肛門周囲膿瘍 (はれ痔)になるのです。 はれ痔は、病院で切開して膿を完全に出し、傷跡を縫わずに、奥のほうから自然に直る様に、 ガーゼを傷に当てながら数週間をかけて直します。入院の必要はありません。 はれ痔が直ったところで、今度は痔瘻の根治治療を行います。 これには、きちんとした手術が必要なので入院が必要です。痔瘻を放置しておくと、それが癌に発達 する場合もあります。 手術では、肛門小窩(一次口)から、肛門皮膚(二次口)に繋がるパイプ(瘻管)をえぐり開放します。 入院には、通常約2〜3週間かかります。 平成11年2月13日(土曜日) 特に痛いでも無く調子は良い。これなら一週間の出張(1日間パリ:5日間ニース)は持つだろうと確信し 電車に乗り込む。成田への行きは電車、帰りは車で迎えに来てもらう事が習慣化している。 成田で上司や他社の同業者に会う。何となく、尻に問題があると冗談ぽく振舞う。 「12時間の椅子が辛い。」などと冗談を言いつつ飛行機に乗り込む。朝から全く痛まないので 気を良くしている。抗生剤を飲んでいるにも拘わらず機内で酒をあおる。痛みが消えた事、寄書発表を 少しでも忘れたかった事などから酒がすすんだ。
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