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大腸癌研究会・大腸癌治療ガイドライン 医師用2010年版
切除不能進行・再発の1次治療 抗EGFR抗体薬を追加

記事要約 大腸癌研究会の「大腸癌治療ガイドライン 医師用2010年版」がまとまった。同ガイドラインは昨年改訂されたばかりだが、この1年間で新たに保険収載や適応拡大された大腸がん治療薬があるため、化学療法の項目だけを変更した。KRAS野生型の切除不能進行再発大腸がんの1次治療として、抗EGFR抗体のセツキシマブとパニツムマブを新たに推奨したのが特徴だ。


この話題は開業医の私には高度すぎますので「私見」を述べたいと思います(本郷メディカルクリニック 鈴木)

私が「医学の最先端(東大)」に在籍していた1990年代、大腸癌は「抗がん剤の効かない癌の代表」でした。

近藤誠氏が「抗癌剤を使うのは殺人と同じ」とマスコミで大々的な「抗癌剤批判」を展開。癌学会のトップが、反論しましたが、逆に近藤氏の論舌に返り討ちにあいました・・・・

その頃、私は癌遺伝子を研究していました。今回、正式に認可されたEGFRというのは癌遺伝子の仲間(増殖因子の受容体)です。

試験管を振りながら、同僚と話したものです。

「こういう遺伝子工学が臨床に使われる時代が来るのだろうか?

「いつかは来るだろう。でも、俺たちが医者をやっている間には無理だろう・・・

・・・・・・・・・・・・・・隔世の感があります。

慶応大学講師 近藤誠氏    

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増殖因子による癌細胞分裂

 

 


 やや、難解(高校での生物の知識が必要)なのですが、最近話題の「分子標的薬の概念」を解説したアニメです。興味のある方はどうぞ!

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補足:(Nature Chemical Biology, 2011年07月)このような分子の人工的デザインにより大腸癌で最も重要なRAS遺伝子を阻害する分子標的薬が(*)遂に開発されました。これこそ「真打ち」です。癌の化学療法は、これから大きな革命を迎えるでしょう。

(*)正確にはRASのGEFであるSosとRASのαへリックス同士の結合を妨げるペプチド。他のRASファミリー、GEFにも作用(副作用を起こす)の可能性もあり、これが実際に臨床応用されるには・・・・・数年は必要でしょう。しかし「極めて重要な最初の一歩」です。

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RASタンパクの3D構造。タンパク質データベースよりファイルを入手し通常のパソコンで作成。
誰でもパソコンで「新しい分子標的薬のデザイン」が可能になる時代が来るかもしれません


私自身の学位の研究もRASに関するものでした。学位審査は故・平井久丸博士にしていただきました。平井先生は白血病におけるRASの研究で世界最先端の研究をされていました。「まだ、詰めの甘いところがいくつかあるな・・・・・まあ、いいか」と笑いながら「学位認定」の判をいただきました。その、数年後、平井先生は急逝されました。毎日、明け方まで研究をされ過労から倒れたのです。

補足2:日本で大腸癌に認可されているもう一つの分子標的薬がアバスチン(血管新生因子=VEGFに対する抗体 )です。元々は米国の会社の薬で、米国FDA(厚生省に該当。審査が世界で最も厳しいと言われています) が認可したのですが、2010年12月FDAは「追加試験で効果は確認されず認可を取り消す」という異例の措置を発表。これに対し製薬会社は抗議。公聴会は紛糾し、法廷での争いに発展しそうです。分子標的薬の開発の迷走はしばらく続きそうです。


・・・以下、専門的です

この研究がいかに革新的か?今までの「分子標的薬」の主役は「抗体」でした。しかし誰でも解ることですが・・・・抗体を医薬品として使うのは様々な問題があります。「本命」と考えられているのは「より特異性の高い小分子(アダプタマーと呼ばれます)」でRNAとペプチドが「有力候補」です。RNA医薬品は日本でも承認済みです(マクジェン=眼科で使用。細胞外で作用する)。しかし細胞は内部に入った「異物RNA」を「ウイルスの侵入」と見なし炎症反応を起こします。RASを抑えるように細胞内で使うにはRNAではなくペプチドが理想的なのですが、技術的にペプチドの開発はRNAより遙かに難題があります。RNAはPCR増幅という強力な開発手段があります(RNA工学)。しかし、ペプチドは不可能です。PCRの代わりにスーパーコンピューターが必要です。今回、その難問が破られたのです。