大腸のバリウム（レントゲン）検査

別名、注腸検査といいます。歴史の古い検査でかって大腸検査の主役でした。食事制限と下剤により腸の中を空っぽにしておしりからバリウムをいれます。腸に病気があるとそこだけバリウムがはじかれてぬけます（陰影欠損）。


		注腸検査の方法下剤を飲んで大腸の中を空っぽにしておしりからバリウムを注入してから空気をいれてレントゲンを撮影します

バリウム検査の問題点
内視鏡と同じだけの手間をかけて検査しなければならないのですが以下のような問題点が多いため、現在では大腸専門病院では内視鏡が主役でめったに注腸をやりません。
注腸の問題点

平坦型病変はまず発見できない（専門病院が注腸をおこなわない最大の理由）
大腸ガンはS字結腸に多いのですが、S字結腸は腸管の重なりが多く注腸の弱点となっている。特にけいしつを合併していると進行ガンでも見落とされる
放射線被爆が大きい。とくに注腸は生殖器が被爆する。
腸に十分な量の空気をいれてふくらませないと診断ができないため苦痛が大きい

ガイドラインでも
厚生省の発行している大腸ガン検診ガイドラインでは精密検査として「全大腸内視鏡検査をすすめる。しかし内視鏡が困難な場合は注腸とS字結腸内視鏡の併用とする」となっています。「注腸のみ」は好ましくないという見解です。

内視鏡とどちらがよいか？
大腸内視鏡の専門家がおこなえば、注腸よりも内視鏡の方が正確で苦痛が少ないのですが、注腸は専門家がいない場合の次善の方法と位置付けられています。かって胃の検査は「まずバリウム、次にカメラ」というスタイルでしたが、今日このような方式をとる病院はほとんど、ありません。しかし大腸では専門病院以外では、まだまだ「まずバリウム、次にカメラ」といういうスタイルの施設があります。理由は一つには内視鏡の専門医がいないということですが、経営的な理由による場合もあります（検査を２度おこなった方が利益が大きい）

・・・・・・・大腸内視鏡について
・・・・・・・平坦型大腸癌について

＜患者さんの質問から＞
私は、25才の既婚の女性です。先日、注腸検査の結果、大腸ポリーブが発見されました。このサイトを発見する前でしたので、注腸検査が現在では主流ではなく、厚生省のガイドラインにも、その旨示されていることを知らされて、ショックを受けています．ところで、近々子供を作ろうと計画しています。注腸検査では生殖器が被爆するとありましたが、影響はどの程度なのでしょうか？子供を作る時期を延ばした方がいいのでしょうか？伸ばすとすればどの程度伸ばせば良いのでしょうか？教えていただければ幸いです．

バリウム検査の被爆は術者のレベルでかなり違います。「子供を作る時期を延ばした方がいいのか？」は即答はできません。バリウム検査は胸のＸ線やＣＴとはことなり、「１瞬」だけレントゲンをだすのではなく、モニターでみながら「持続的」にレントゲンを放射します。術者がベテランで、すばやく検査をすませば放射は１分以下ですみますが、なれていないと放射時間が１０～２０分となり、かなり被爆することになります。

日本の胃のバリウム検診は血液検査（ペプシノーゲン法）に変わろうとしています。しかし、大腸の方はよい血液検査はありませんので「内視鏡の専門家がいない」病院なら、次善の方法としてバリウム検査でもしかたないというのが実情です。・・・・が、やはり若い女性に注腸を勧める医師は問題だと思います　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　