子宮癌の原因ウイルス
人乳頭腫ウイルス(Human Papilloma Virus以下HPV)は当初、「皮膚にできるありふれたいぼ」の原因ウイルスとして見つかりました。
そして、以前より子宮ガン(頚部ガン)がウイルス感染症が原因であることが疫学調査からわかっていましたが犯人は不明でした。遺伝子工学の進歩により犯人が追い詰められました。変異した(強毒株とも考えられます)HPVが子宮がんの犯人であることがわかりました。
HPV電子顕微鏡像
他の癌にも関与
さらに他の性器ガンにHPVが広く関与していることがわかりました。
ついで、 肛門のコンジローマや肛門ガンの大部分がHPVによるものであることがわかりました。
さらに食道にできるポリープ、食道ガンの一部もHPVが原因と考えられています。
強力な発ガン遺伝子を持つ
HPVは2つの癌遺伝子をもっています。E6とE7と呼ばれるものでそれぞれ人細胞の重要な癌抑制遺伝子RBとP53に結合し不活性化することで細胞を変異します。この意味でHPVは最強の発ガンウイルスともいえます。もともと発ガンウイルスは動物のガンの研究で見つかったものです。人間のガンは化学発癌(食事や排気ガス)が主でウイルスによる発ガンは稀であろうと考えられていました。しかし、HPVは人類に「ひろく蔓延した発ガンウイルス」だったわけです。
治療は
現在HPVを確実に排除する薬はありません。治療の主役は感染病巣の外科的な切除です。他にワクチン、抗ウイルス薬が使われています。海外ではimiquimod
という新しい薬も使われています。免疫を刺激することでウイルスを排除します。かなり効果が高いようですが、国内での認可はもう少し後になります。
・・・・・コンジローマについて
・・・・・肛門ガンについて
・・・・・癌遺伝子について
・・・・・最新バイオテクノロジーについて