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新しい検査法

カプセル内視鏡
小型カメラをいれた1cm前後の小型カプセルを飲み込み、画像診断をおこなうものです。イスラエルのメーカーが発表し日本でも改良型が発表されました。数年以内に一般病院でも使われることでしょう
<特長>従来、小腸は非常に長く内視鏡検査の難しい「暗黒領域」でした。しかし、カプセルならば小腸検査も難しくありません。カプセル内視鏡は将来、小腸検査の主役になるだろうと考えられています。・・・もっとも小腸は癌や重い病気は非常に少なく「カプセルを飲んでまで検査しなければいけない」状況というのはそんなには多くありません
<大腸や胃の検査は無理>しかし、カプセル内視鏡が現在の内視鏡に代わって、胃癌、大腸癌検診の主役になることは当分はないでしょう。理由は下の比較写真を見れば明白です。まず、カメラの画素数(画質)が違います。また、胃腸には粘液があり、ひだがたくさんあります。胃カメラや大腸カメラでは粘液を吸引して除去し、水できれいに洗浄して、ひだの陰が死角にならないように、ひだを伸ばします。その結果として右のような鮮明な画像が得られます。これらの作業はカプセルでは不可能です。これらの作業をおこなわずに、ただ、シャッターをきると左のような写真しか撮れないわけです。・・・・・・・「より小さな早期癌の検出」を課題に内視鏡の画質は現在も進化(高画質化)しています。これは「小さな癌なら内視鏡切除で完治できる」からです。これが画質の悪いカプセル内視鏡に後退することはないでしょう。
またカプセル内視鏡は組織検査、ポリープ切除はできません。その意味で「内視鏡よりもレントゲン検査に近いもの」といえます。

カプセル内視鏡の画像(赤い出血性病変が見える Iddan G. Science2000:405:417 より引用) 現在、最も普及しているタイプの内視鏡画像(ポリープが見える)・・・より高画質なものもある

CT内視鏡(仮想内視鏡)
CT(コンピューター断層撮影)を使って内視鏡と同じような腸の3次元像を得るものです。ちょうど3DのCG(コンピューターグラフイック)ソフトで造ったような画像が得られます。一時、話題となりましたが精度が(特に小さな病変、平坦な病変で)内視鏡と比べると劣ります。基本的には「3次元的な注腸(バリウム)検査」といえます。
長所、欠点は注腸(バリウム)とほぼ一緒です。つまり・・・・
(1)下剤の準備と空気をお腹に入れる処置を要します(2)小さな病変、平坦な病変は検出できません(3)細胞検査、ポリープ切除はできません


http://www.vec.wfubmc.edu/gallery/より引用

TOPICS 大腸検査のファーストチョイスは内視鏡ではく、CT検査(バーチャル大腸鏡)になる?


PET(腫瘍PET)
細胞分裂の盛んな細胞(癌)はエネルギー(ブドウ唐)を正常細胞よりも多く消費します。この性質を利用した「化学的な」画像検査がPETです。アイソトープで標識したブドウ糖(FDG)を注射して取り込み部位を検出します。消化器の分野では特に膵臓癌の診断に大きな期待が寄せられています。高価な機会でどこででもできるわけではありません。現在の日本では限られた施設で自費(8〜10万円位)で行われています。
大腸に関してもある程度大きな進行癌はPETで検出されます。しかし、小さな癌や、癌のもととなる前癌病変(ポリープ)は検出されません。(注:他の部位では早期癌が見つかりますが、胃と腸はFDGが生理的に集積するため、PETの弱点で早期癌の診断は難しいです)
「全身の健康チェックとしてPETをおこない、たまたま大腸にシグナルがみつかり精密検査として大腸内視鏡検査を受ける」という方が最近、増えてきました。しかし、何か心配のある方(血便がある、便通がおかしい、など)が「大腸を調べるためにPETを受けるの」というのはおすすめできません。


http://www.bnl.gov/pet/studies.htmより引用


これらの新しい検査法は今後も改良されいつかは、内視鏡に代わって癌検診の主役になるでしょう。しかし、現時点では(1)小さなガンを確実に診断できる(2)細胞検査、ポリープ切除が同時にできる・・のは内視鏡だけです。
現在、大腸癌が心配な方は迷わずに「専門医の大腸内視鏡」を第一選択にすべきです。