「便に血がついた」というのは大腸肛門科を受診する患者さんの最も多い訴えです。
一番多い相談は「赤い血便が出た。痔だろうか?それとも?」というものです。
便と混ざっていない鮮血がでた場合は痔からの出血の頻度が多いのですが直腸からの出血
の可能性もあります。
基本的にこの両者を区別することは困難です。
日本人の3人に一人が痔持ちです。当然、痔持ちの方が直腸の病気にもなるというのも、めずらしくないことです。
痔があって、便の表面に 血が付着している「痔だろう・・・」と決め付けるのは危険なことです
血便を見たら・・・
「痔だろう」と決め付けずに検査を受けましょう
・・・・患者さんの声から
このような出血とは別に便全体が赤ければ大腸(直腸より奥の)からの出血です
下痢、腹痛、熱をともなったものならば大腸炎による血便が可能性が高いでしょう
はっきりと下痢、腹痛、熱などが無いならば、腫瘍(ポリープまたはガン)からの出血か、それ以外の出血かが問題となります。大腸の精密検査が必要です。
間違いの無い検査は大腸の内視鏡検査です。 すでに血便を見た方が便潜血検査をおこなうのは全くの無意味ですし、バリウム検査(レントゲン検査)も正確性の点でおすすめできません。下血をおこす大腸がんは直腸か直腸に近いS字結腸のことが多いのですがここはバリウム検査の弱点です。内視鏡でしたら、見落とすことはまずありません。
大腸内視鏡検査について詳しく・・・
より詳しく
血便をともなう大腸炎はいろいろあります。腸の血行不良によるもの(虚血性大腸炎、最近増加中です!)、ばい菌によるもの(O−157や赤痢)、風邪で飲んだ抗生物質による副作用によるもの、炎症性腸疾患などです。
大腸炎は正確な診断がなされて治療がおこなわれれば必ずよくなります。 診断が間違う、あるいは遅れた場合はたいへんです。例えば抗生物質による副作用による大腸炎なのに抗生物質の投与を続ければ死亡することもあります。下血をおこすような大腸炎は専門医が診察にあたるのが理想です。
抗生物質による副作用による大腸炎
痛みも熱も無い血便の原因としてはけいしつが最も多いものです。けいしつ出血は原則として安静のみで治ります。不要な投薬、手術をさけるためにまず、正確な診断が重要です
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